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News & Blog

  • 執筆者の写真Masayuki Mahara

TEA FOLKS31 坂口園 坂口和憲さんのご紹介

TEA FOLKS(ティーフォルクス)は2カ月に一度、2茶園のプレミアム和紅茶を茶園のストーリーとともにお届けする定期便サービスです。

定期便価格で最新版をご希望の方はこちらからお申込みください。

各便のバックナンバー及び個別の茶葉単体販売も行っています。(在庫次第となります)





1. お茶の坂口園「はるべに」の特徴


「はるべに」は春摘みの「べにふうき」を用いたお茶の坂口園のオリジナル商品です。

かつてから販売していた「ゆのつる和紅茶」を基にしながらも、製茶工程にさらに手を加えた新シリーズの和紅茶で、春夏秋のクオリティシーズンごとに「はるべに」「なつべに」「あきべに」の3種類の商品を展開しています。


園主の坂口和憲(さかぐち かずのり)さんは、毎年春の新茶時期になると、摘期より少し早めに「べにふうき」の芽を摘み取り、「はるべに」の試作品を用意します。


和憲さんはこの試作品のテイスティングを通して摘期の見極め、風味と製法の調整・確認を行い、毎年安定した製品クオリティの実現を可能にしているのです。


また坂口園は比較的標高の高い地域にあるため、昼夜の寒暖差が茶葉の香りに良い影響を及ぼします。


坂口園では、こうして手間と時間をかけることで、通常製品との違いを実現し、地域特性の活きた香りある和紅茶を生産しています。


和紅茶の王道品種である「べにふうき」ですが、春摘みのものは夏摘みのものと比較してややライトな風味と花のような香りが特徴的です。


「べにふうき」らしいボディ感は健在ながらも、スッと身体に馴染む飲み心地の「はるべに」は、目覚めの一杯や、和紅茶入門の選択肢としても適した仕上がりとなっています。


2. お茶の坂口園のはじまり


お茶の坂口園は著名な紅茶製造者が多く集まる熊本県水俣市にあり、現在は3代目の坂口和憲さんが園主を務めています。




お茶の坂口園は初代園主が1929年に、湯の鶴温泉を望むこの地に在来の茶樹を植えた事で創業し、以降100年近く茶栽培を続けてきました。


和憲さんの父である2代目園主が2010年頃から和紅茶の製造に乗り出し、10年以上に渡って販売を行っています。


また大手飲料メーカーの紅茶飲料にも茶葉提供をしており、ペットボトル紅茶のように一般に手を取りやすいものから業界に貢献しています。


和憲さんは、お父様の開発した「ゆのつる和紅茶」をベースにして、さらに手を加えた「ゆのつる和紅茶 はるべに」(以下「はるべに」)を2017年にリリースしました。


春摘みの「べにふうき」を用いて作られる「はるべに」は品種の持つ力強さを保ちながらも、春の柔らかさの感じられる爽やかな紅茶に仕上がっています。


「はるべに」が「国産紅茶グランプリ2020」プロダクツ部門でグランプリを獲得すると、お茶の坂口園の名は日本全国へ瞬く間にとどろきました。


和憲さんが和紅茶製造に乗り出した当初から、水俣には和紅茶を生産する有名な茶農家が複数軒あったため、他の生産者の元へ学びに行き、生産者同士での交流をしてきたそうです。


他者からの刺激や意見を活かしつつ、和憲さんは自らの個性を引き出す紅茶作りに向き合ってきた結果、この「はるべに」紅茶が誕生したのです。


また和憲さんは「地紅茶サミット in みなまた」の後も続く、「九州和紅茶サミット in みなまた」でも実行委員長を務められており、他の茶業者とともにこの地域の和紅茶振興をリードしています。




また自然環境面では標高350mあるこの地域は九州地域にあっても比較的冷涼な気候のため、季節や時間帯によって大きな気温差が生じ、チャノキの持つ香りが存分に発揮されることに繋がります。


3. 手間暇かけて作られる兄弟商品「なつべに」 "THE LEAFIES 2023" での活躍


「はるべに」は春摘みの「べにふうき」を用いて作られる和紅茶です。

和憲さんは商品の品質を安定させるため、毎年新茶の季節になると、少し早めに茶摘みを行い、紅茶を試作しています。


坂口園では「はるべに」に続く兄弟商品として夏摘み「べにふうき」を使った「なつべに」が開発されました。


夏の燃え盛るような陽射しを浴びて育ったチャノキは春のものよりも成長は早くなり、味や香りの成分も多く生成されます。


こうして豊かに実った「なつべに」は「はるべに」に比べて更にパワフルな味わいと濃厚な果実様の香りを湛えます。


2022年からイギリスはロンドンで開催される “THE LIEFIES” では2023年の “JAPANESE BLACK TEA” 部門でお茶の坂口園の「なつべに」が見事に “HIGHLY COMMENDED” を獲得しました。




軟水器を通しているとはいえ、日本に比べて水分中のミネラルが多く含まれるイギリスの硬水においては繊細な味わいの「はるべに」よりも、よりダイナミックな「なつべに」の相性が良かったのかもしれません。


水の違いによる味わいの変化の面白さは和憲さんご自身も「第21回 地紅茶サミット岐阜」の際に言及されていました。


そして2023年からは、既に国内外で高い評価を得ている「はるべに」「なつべに」に加えて、秋摘みの「べにふうき」を使用した「あきべに」がリリースされました。


したがって、春の華やかさを感じる香りと繊細な味わいの「はるべに」、ダイナミックでパワフルな味わいが印象に残る「なつべに」、穏やかなのに存在感のある香りと甘味が際立つ「あきべに」と3兄弟が揃った形になります。


同じ「べにふうき」紅茶でも季節の違いで風味や印象が異なるため、全てコンプリートしたくなるラインナップです。




4. 「SBTP和紅茶グランドツアー」と “THE LEAFIES 2023” を通して得られた海外進出の展望


お茶の坂口園は “THE LEAFIES 2023” へ商品を出品し「なつべに」が “HIGHLY COMMENDED” を獲得しました。TOKYO TEA BLENDERSにおいても当コンテストへの出品をご支援させて頂きました。


また2023年11月にロンドン・パリ・ベルリンのヨーロッパ主要都市で行った「SBTP和紅茶グランドツアー」にもお茶の坂口園の紅茶を携行したところ、各都市のテイスティング会場で茶業関係者や紅茶愛好家からの高い評価を博す結果となりました。



この背景には和憲さんの手間暇かけた紅茶製造に加え、現地の水との相性が大きく作用したように思われます。


ヨーロッパの水道水は地域にもよりますが、ミネラル分の含有量が高い硬水が主となるため、改めて現地で軟水を用意する必要がありました。


しかしヨーロッパの軟水は日本の軟水と比較してもその硬度はかなり高く、紅茶の風味へ及ぼす影響が大きいため、商品傾向や現地人の嗜好のほかに、お茶の入れ方によって柔軟に対応することが問われました。


特に香りにおいて水の影響は大きく、軟水でも高度の高いヨーロッパの水は、同じ条件下で日本で紅茶を入れた時よりも香りの立ち方は弱くなる傾向が見られました。


一方で味わいにおいては必ずしも悪い作用ばかりではなく、全体的に味の抽出が弱くなるものの、苦渋味も抑えられるため、入れ方の工夫と茶葉の相性次第ではとても良い状態での紅茶の提供が可能となりました。


またヨーロッパにおける和紅茶の認知度はまだまだ大きくない一方で、関心は確実に集まっており、実際に先鋭的な茶商からクラシカルな茶商まで少しずつ和紅茶ラインナップを増やしているようでした。


和憲さんご自身は今まで海外からのコンタクトがあっても取引はほとんど行ってこなかったものの、今後は国内外問わずに更なる展開を考えているようです。




5. シングルオリジンティーへの新たな取り組み


坂口園には「べにふうき」の他に「やぶきた」「めいりょく」「さえみどり」「つゆひかり」「在来種」など複数の茶品種が植えられています。


しかし、シングルオリジンティーとしては「べにふうき」を使った「はるべに」「なつべに」「あきべに」の3種類しか商品化していません。


そのため、今後は他の茶品種を用いたシングルオリジンティーの商品開発にも力を注いでいく方針のようです。


また近年開発された熊本県の茶品種を用いて、地域性のある商品展開も考えており、今後がますます楽しみです。



TOKYO TEA BLENDERSではティーインストラクターの知識をお伝えする無料メルマガTEA FOLKS通信で紅茶のおいしいいれ方やペアリング、歴史など幅広い情報をご紹介しています。ぜひご覧ください。

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