TEA FOLKS(ティーフォルクス)は2カ月に一度、2茶園のプレミアム和紅茶を茶園のストーリーとともにお届けする定期便サービスです。
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1. カネロク松本園 「香駿」の特徴
今号ではカネロク松本園の単一品種紅茶「香駿」2023年春摘みをお届けします。
カネロク松本園といえば、以前、弊社でも紹介させていただいた燻製紅茶を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、本ロットの「香駿」紅茶は無煙香タイプのもので、カネロク松本園が新たに植えた品種紅茶のファーストロットです。
本紅茶は、春摘み紅茶らしい花香を中心に、ほのかにシナモンのようなスパイスの香りや甘みのある穏やかなロースト香を伴い、華やかに香ります。
また、軽やかなボディ感の口当たりで、渋みはほとんどなく、優しい甘味と滋味の感じられる味わいかつ、喉越しも爽やかなとても上品なテイストの紅茶に仕上がっています。
まだ植えられてから年数の浅い「香駿」紅茶からは、幼木ならではのフレッシュさも感じられ、来年、再来年以降のロットとの違いも大変楽しみな紅茶です。
2. 新たな茶園造成と品種の選定
カネロク松本園では約4年前に大規模に新たな茶園造成を行い、その際にこの「香駿」の苗木を植えました。
2019年にもともと植えてあった「やぶきた」を抜根し、約2年かけて茶園を造成したのち、2021年に「香駿」の植え付けに至りました。
「やぶきた」が植えられていた当時は傾斜がとても強い茶園だったため、乗用型摘採機も入れず、2人刈りを行っていたそうです。
新たに造成した茶園では3段に分けてブロック塀を築き上げ、現在のテラス式隣、乗用型摘採機も難なく入れるようになりました。
茶園造成の過程では特にブロック塀を積み重ねていくことが重労働となり、いくつもの重たいブロックを遠方まで何度も仕入れに行き、少しずつ形成したようです。
しかし、そんな大変な苦労の甲斐もあり、この高品質な和紅茶の誕生に至りました。
「香駿」は緑茶用品種として開発された経緯がありながらも、香りに強い特徴があり、また萎凋・発酵工程にも適性があるため、紅茶や烏龍茶においてもポテンシャルを遺憾なく発揮できる、まさに駿河の国を代表する香り品種です。
上記を理由に園主の松本さんは、「香駿」をこの新たな茶園に植える決断に至ったそうです。
3. SBTP和紅茶グランドツアーを終えて
2023年11月、TEA FOLKS 32 でもご紹介した益井さんらとともに、松本さんも弊社主催の和紅茶グランドツアーに同行されました。
もともとフランスはパリを中心に海外にも販路をもち、世界的な茶商社でも取り扱いのある松本さんですが、今回ツアーという形で欧州3都市を廻ることで、改めて現地の茶業者やお茶愛好家たちの熱意に感心したようです。
ロンドン、パリ、ベルリン各都市で松本さんの作るユニークなスタイルの紅茶は人気を博し、言語や文化を超えたコミュニケーションが繰り広げられていたことはとても印象に残っています。
取り分けて和紅茶グランドツアーの一大イベントとなったベルリンの “Berlin Tea Festival 2023” には欧州各国から大勢の来客があり、また茶業者だけでなく、欧州作家による茶器の出展も多数あり、彼らの茶文化に対する関心はとても強いものでした。
同イベントではインド紅茶や中国茶をはじめ、和紅茶含む日本や韓国が新たに取り組むスタイルのお茶や、アフリカ茶にも興味が寄せられているようで、欧州の茶市場の多様性を伺うことができました。
松本さんは本ツアーを経て改めて、今回周遊したフランス以外の各国にも販路を広げていきたいと感じられたようです。
特にドイツは皆でイベントの様相を目の当たりにしたこともあり、期待しているそうです。
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