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TEA FOLKS6 カネロク松本園 松本浩毅さんのご紹介

更新日:10月4日

TEA FOLKS(ティーフォルクス)は2カ月に一度、2茶園のプレミアム和紅茶を茶園のストーリーとともにお届けする定期便サービスです。


2021年9月-10月の第3便では岩永製茶園の岩永1号とカネロク松本園の燻製紅茶(ウィスキー樽)をお届けしています。お申し込みはこちらから。


目次

  1. カネロク松本園 燻製紅茶(ウィスキー樽)の特徴

  2. カネロク松本園のはじまり

  3. 浩毅さんの就農

  4. 燻製紅茶がうまれたきっかけ

  5. カネロク松本園の品種と茶草場農法

  6. 今後の展望

  7. 編集後記


1.カネロク松本園 燻製紅茶(ウィスキー樽)の特徴

牧之原にあるカネロク松本園のオリジナル商品、燻製紅茶は様々な資材で茶葉を燻製にしていますが、代表作はやはウィスキー樽の木片で燻した燻製紅茶ではないでしょうか。


茶袋をあけた時の香りはスモークチーズのようであり、抽出した茶液からは独特の燻製香がします。


渋くスパイシーな香りとは裏腹に、飲んでみると雑味はなく舌にのこる甘さに驚かされます。


農薬不使用で栽培した茶葉に、香料など一切使用せず、創意工夫だけでこの境地に至った商品力に感服します。


このスモーキーな燻製紅茶には、カカオ比率が少し低めの甘いミルクチョコレートを合わせると口の中で特別なハーモニーを奏でてくれます。


2.カネロク松本園のはじまり


カネロク松本園は静岡県島田市の牧之原台地にあり、お茶好きの聖地「ふじの国茶の都ミュージアム」から車でたった5分程のところにあります。


まさに茶の都の名前にふさわしく、あたりは一面、茶畑が広がっています。


江戸時代の武士たちが明治期に刀を鍬に替えて、江戸幕府の元幕領であった牧之原を開墾したのは有名なお話です。


明治初期、日本の主な輸出産業として生糸と茶が推奨されていたため、牧之原ではチャノキが植えられて、その時にできた茶畑が今に続いています。



松本家も明治期に牧之原の開拓に加わった武士の家系であり、次男であった祖父の毅禄(きろく)さんが、本家から分離してできたのが現在のカネロク松本園となっています。


カネロク松本園のロクは祖父の毅禄さんの”禄”からきているそうですが、仏教では天から与えられる恵みという意味があるのだそうです。


3.浩毅さんの就農


浩毅さんは、静岡県立農林大学校(現・静岡県立農林環境専門職大学)でお茶や土壌、肥料の勉強をし、卒業後の2003年頃に就農しました。


父の代まではお茶を生産して卸すまでを仕事としていましたが、浩毅さんは直接お客様に販売するところまでチャレンジをしたいと考えました。自分で月に1,2回、東京に足を運んでマルシェに参加するようになりました。


ところが、自分で直接お客様に販売するようになって愕然とします。自園のお茶をどれだけ美味しいと思っていても、お客様に買って頂けるような提案をするのがとても難しいのです。


日本には美味しいお茶がたくさんあり、その美味しさを表現できる営業力が必要です。品評会で一位をとったお茶もそこかしこにあり、”一位”しか意味をなさなくなっていて、みんな一位を目指して同じようなお茶を作っているように思えました。


営業力に限界があるなら、自園なりの商品力を磨かなければならないと考えるようになっていきました。


陶芸家や絵描き、音楽家が好きで尊敬している浩毅さんは、アーティストの表現力を見習い、自分なりのお茶を表現したいと模索し始めます。


2010年に結婚し家庭を持つようになった浩毅さんは、お茶作りにますますのめり込むようになります。


4.燻製紅茶がうまれたきっかけ


お茶の商品力に課題を感じていた頃、益井園の益井悦郎さんに出会い、独自の製法で発酵茶をつくる姿に感化されました。


ある日、お茶の勉強をしにいった先で、中国茶をたくさん飲ませてもらう機会があり、そこで燻製された中国茶、ラプサンスーチョンを飲んだ時に、浩毅さんは商品づくりのヒントを見出しました。


中国茶のラプサンスーチョンは松を燻製材としていますがラプサンスーチョンを目指すのではなく、国産初である燻製茶で世界中のどこにもないオリジナル商品を作りたいと思い、様々な資材で燻製茶づくりに挑戦します。


今や代表作となったウィスキー樽のほか、ひのき、さくら、りんご、かえで、松、カカオ、シナモン、桃、いちじく、柚子を用いた燻製茶がこれまで商品化されおり、その他にもクロモジやベルガモットオレンジなども実験してきました。


燻製紅茶には、やぶきた、さやまかおり、かなやみどりの茶葉を主に使っています。


2010年頃から少しづつ燻製茶を販売をするようになり、和紅茶の展覧会などを通じて紅茶好きに広まり、今では海外でも人気となっています。


5.カネロク松本園の品種と茶草場農法


浩毅さんは2018年に父親から茶園を継いで正式に園主となりました。


カネロク松本園の茶畑の品種は父から継いだやぶきたが圧倒的に多いのですが、その他に、さえみどり、さきみどり、おくみどり、やまかい、やまのいぶき、かなやみどり、さやまかおりが育てられています。


発酵茶用品種として有名なべにふうきは植え替えのタイミングが合わず今のところないそうですが、最近では烏龍茶の製造に興味があり、香駿を植えて約4年後の収穫を楽しみにしています。

また、古くから静岡で伝統的に行われてきた茶草場農法の伝承にも積極的に取り組んでいます。


茶草場農法とは、ススキやササなどを秋から冬にかけて刈り取って束にして乾燥させ、その乾燥させた草を細かく裁断して、茶園の畝の間に敷き詰める農法です。草を集めてくるのに大変な労力が必要とされます。


草を刈ることで茶草場に生息する小さな植物にも日光があたるようになり、固有種や絶滅危惧種を含む300種類以上の多様な動植物の保全に役立っていることが知られています。


また、茶園の畝の間に敷き詰められた草は土壌の保温や保湿、微生物の繁殖による土壌改良、雑草の繁殖抑制など様々な効果があり、その結果、お茶の色、香り、味が良くなると考えられています。


静岡県の茶草場農法は2013年に世界農業遺産(世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を、国際連合食糧農業機関が認定する制度)として認定されました。


浩毅さんは、この茶草場農法の伝承だけでなく、世界農業遺産自体の認知度を向上させるべく、日本各地の認定農法との連携を進めています。


6.今後の展望


カネロク松本園のロゴは5-6年前に浩毅さんが一新しています。従来は禄の字だけでしたが、その周りに茶畑と富士山をデザインし、全体的には茶の花の家紋のようなイメージのロゴに刷新しました。


コロナ禍以前の和紅茶イベントが開催されていた当時は、カネロク松本園のカッコいいディスプレイと燻製紅茶の商品性に魅せられて長い行列ができていました。


(2018年のジャパンティーフェスティバルではカネロク松本園のお隣にTOKYO TEA BLENDERSのブースを構えさせて頂いて、たくさんご支援を頂きました。)


また、コロナ禍以前は3回にわたってヨーロッパをまわり、カネロク松本園のお茶と燻製紅茶を広めていました。


もともとは東京の商談会で、パリへ日本の工芸品を紹介する担当者と出会ったのがきっかけでしたが、フランスの大手紅茶販売会社でもカネロク松本園の燻製紅茶が取り扱われるようになり、認知が高まっています。


浩毅さんがフランスで飛び込み営業をしてみると、生産者がはるばる日本から来たことを歓迎してくれる方も多く、フランスは農業大国だけに生産者をリスペクトする文化が根付いているように感じています。


コロナ禍の終息が待ち遠しいところですが、今後は燻製紅茶をヨーロッパ全域に広げていきつつ、烏龍茶など新しいお茶にも挑戦したいと考えています。


浩毅さんはお茶が好きで、お茶だからこそ農業をしているし、胸を張ってお茶農家をやっていると言い続けられるよう美味しいお茶作りに取り組みたいと語っています。


燻製紅茶で注目を集めるカネロク松本園が今後、どのような商品を開発して世にだしてくれるのか楽しみです。


7.編集後記

松本さんは若い世代の和紅茶生産者として独自の発想で燻製紅茶をうみだしました。パッケージやイベントディスプレイにも工夫して製品のブランディングにも力をいれています。これからの和紅茶を世界にけん引する存在としてぜひ注目していきたい生産者さんです。

牧之原を訪れるのであればぜひ寄りたいのが「ふじのくに茶の都ミュージアム」です。

日本だけではなく、世界のお茶を体系的に学ぶことができます。

お茶の種類のほか、歴史や文化、製造方法まで展示内容は多岐にわたり、併設されている美しい庭園も楽しむことができます。

2018年のリニューアル後、定期的にテーマを変えて開催されている企画展も好評です。


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