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  • 執筆者の写真TOKYO TEA BLENDERS

齋田記念館の特別展「蘭字ー知られざる輸出茶ラベルの世界ー」のご紹介


東京世田谷区の小田急線世田谷代田駅から徒歩圏にある齋田記念館で2021年7月30日(金)まで開催されている特別展「蘭字ー知られざる輸出茶ラベルの世界ー」を訪問しました。

想定していた以上に素晴らしい展示でしたのでご紹介させて頂きます。

齋田記念館は交通量の多い環七通り沿いにあって歴史ある佇まいを残しており、一歩中に踏み入れると静寂な門構えが目に入ってきます。

明治期に茶業を営んでいて、そのため正式名称も 一般財団法人 齋田茶文化振興財団・齋田記念館 となっていて、茶文化を伝える施設でもあることがわかります。

入り口の両脇はチャノキがのこされていて歴史の繋がりを感じさせてくれます。


蘭字展は、単に茶箱の装飾を取り扱っただけの話ではなく、江戸末期から大正にかけての東京の茶業の営みがわかる展示になっています。


期間中、閲覧ができるYouTubeのギャラリートークもかなり秀逸で貴重です。

この動画では、この世田谷の茶園が1881年の第二回内国勧業博覧会で二等賞をとったことが紹介されていますが、展示室では、その賞状が飾られています。


展示室は撮影禁止のためその賞状の威風をご覧頂けないのが残念ですが、なんと、そこに


審査官 多田元吉


と記されていて、和紅茶との接点をみて心が震えました。 多田元吉さんについてはTEA FOLKS1 丸子紅茶の記事をご確認ください。 無料メールマガジンTEA FOLKS通信でも欧州と中国の紅茶の歴史から和紅茶の歴史についてご紹介しています。⇒ 購読はこちら


また、上記のギャラリートークでは、東京の茶業が廃れた要因が、主要輸出先のアメリカでのニセ茶への取り締まりや、東海道線ができたことで遠方の茶が簡単に東京に運ばれるようになったことが挙げられていて興味深いです。


蘭字についてのギャラリートークもかなり充実していて、上記の7分くらいのところで、当時の烏龍茶や和紅茶の輸出表記について紹介されています。


展覧会図録は明治・対象の東京の茶業の様子や蘭字のラベルの紹介とかなり網羅的で貴重な資料になっています。

展示室左側にあった、江戸期の当時のお茶作りの様子を巻物状で解説した作品が、図録に掲載されなかったのは残念です。


お土産では宮崎の五ヶ瀬緑製茶さんの釜炒り茶がドリップパックに入って販売されていました。

コロナ禍であまり注目を受けることがなかった展示のように思いますが、お茶の勉強をしてきてもここまで東京の明治大正の茶業についてまとまっている展示はみたことがありませんでした。


展示期間が残り僅かですが、一人でも多くの方がご覧になられることを願っています。



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