TEA FOLKS(ティーフォルクス)は2カ月に一度、2茶園のプレミアム和紅茶を茶園のストーリーとともにお届けする定期便サービスです。
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1.甲斐製茶園「みなみさやか」の特徴
「みなみさやか」は宮崎県総合農業試験場茶業支場で育苗された、宮崎県うまれの品種です。特に病害に強く有機栽培に向く品種と言われています。
釜炒り茶にした時にミルク香を発し、発酵、半発酵にするとさらにその香りは強まります。「みなみさやか」を漢字にすると「南爽」で、その名前のとおり、爽やかな渋みを持ち合わせており、和紅茶好きの間でも高い評判を得ています。
1970年にアッサム種とコーサカス種に由来する宮A6を母親に、樹勢が強く多収の茶本F1NN27を父親に交配されて選抜された品種が1994年に「みなみさやか」として品種登録されました。(参考:『新版 茶の品種』静岡県茶業会議所)
2.甲斐製茶園のはじまり
甲斐製茶園は、宮崎県の標高350メートルほどに位置する高千穂地方に位置します。年間を通して1日の寒暖の差が大きく霧が発生しやすいため、良質な茶葉が収穫できる産地として知られています。
現園主の甲斐雅也さんは、高千穂の農家としては4代目、祖父の代から茶農家を始めたので茶園主としては3代目となります。
祖父の代はまだ畑作が主力で、茶は在来の実生を育てていたそうです。父の代で茶工場を建設したり茶畑を整備して、茶農家としての基盤がある程度できてきました。
父の代には茶畑が250アールほどの広さになりましたが、雅也さんが、2010年頃に茶園を継いでからは、周辺の茶畑を譲り受けるなどして500アールほどの広さにまで拡大しています。
2015年の第69回全国茶品評会では農林大臣賞を受賞するなど釜炒り茶でトップクラスの評価をえている茶園となっています。
3.和紅茶へのチャレンジ
現園主の雅也さんは農業高校を卒業後、静岡の茶業試験場で2年間お茶作りを学び、お茶を審査する感覚もその時に学んだといいます。
今でも甲斐製茶園のお茶は9割が緑茶ですが、15年程前に雅也さんが和紅茶作りを始めました。
同じ宮崎県内で隣り合う高千穂と五ヶ瀬はお茶作りが活発な地域で、茶農家どうしの交流があります。雅也さんも、宮﨑茶房(TEA FOLKS9でご紹介)と懇意にしていて、宮﨑さんの紅茶作りや商品化のお話を聞いていたのだそうです。
雅也さんも2005年頃には発酵茶(烏龍茶や紅茶)をまずは”遊び感覚”で作り始めていましたが、商品化にはいたっていませんでした。
ただ、紅茶を作り始めた頃から、「べにふうき」や「みなみさやか」などを植えて、少しづつ紅茶用品種の耕作面積を広げてきていたそうです。
10年程前には台湾に訪問し、現地で飲んだ台湾茶の香りのたち方に雅也さん自身も感動しました。日本と風土は異なりますが、台湾の製茶技術、特に発酵を止める技術などは参考にしているそうです。
紅茶作りのノウハウを高めている中で、萎凋機を導入したことで安定して茶葉を萎凋させることができるようになり、結果、品質の安定にも繋がりました。
今では「みなみさやか」と「べにふうき」の他、独特の香りがする「香駿」、甘みや苦みが少ない「うんかい」も和紅茶として商品化されています。
スリランカの紅茶のようにボディの強い紅茶ではなく、中国茶系のフラワリーな和紅茶を目指しているそうです。
4.有機認証を目指して
甲斐製茶園では2023年の有機認証を目指して、有機転換のための栽培に取り組んでいます。
以前は三番茶まで摘採していましたが、有機転換にあたっては、摘採を二番茶までにとどめて、よりよい芽を翌年に残すようにしました。
これまで以上に安心安全な茶葉をお届けするため、様々な工夫をこらしています。
5.神々の里 高千穂のお茶
甲斐製茶園の位置する高千穂といえば、古事記や日本書紀にも登場する神々の舞台となった場所です。
高千穂神社から甲斐製茶園まで自動車で10分少々とまさに神話の里で育まれた茶葉といえます。
また、当園のすぐそばには下野八幡大神社が所在し、国指定天然記念物の巨大なイチョウやケヤキの木があり、神々しい雰囲気が漂っています。
パワースポットの水と空気を吸収して育った茶葉の和紅茶を飲むと、何か特別な力が感じられるかもしれません。
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